ふぃっくしょん!

クロスジャンル音楽イベント「Fiction」の開催連絡や選曲紹介をしたり。

Fiction Vol.8 - DJ HANGARAGIMO "チップチューン特集" トラックリスト&コメント

Fiction Vol.8、ご来場&ご視聴いただいた皆様。どうもありがとうございました。今回はチップチューン特集ということで、以下、自分が回した楽曲の一覧をご紹介。国内未発売のソフトからの楽曲多めでお送りいたしました(本国でも発売しなかったといういわくつきのものもありますが…)。海外のレトロゲー楽曲も、いろいろ掘ってみると面白いですよ。今回の特集で、海外のコンポーザーさんに少しでも興味を持っていただけたら幸いです。
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1:中潟憲雄 / 【GB】平安京エイリアン - ステージテーマA
検非違使が穴掘ってエイリアンを埋め立てるゲーム、それが平安京エイリアン。1990年の年初にメルダックより発売(ちなみに暴れん坊天狗は同年の年末発売)されたゲームボーイ版より、ステージ曲のひとつ。楽曲はバラデューク源平討魔伝暴れん坊天狗などの楽曲を手がけた中潟憲雄氏。ちなみに中潟氏の奥さんのお兄さんはオリジナル版の開発に関わったお方だそうな。なんとも奇縁。GB版への移植の際にはオリジナル版のプログラムが提供されたとのこと。音源のCD化は一応されており(プロモ・オンリーでのリリースで、一般発売はされていないようです)、『平安京エイリアン音楽集』なるものが存在するようです→ http://vgmdb.net/album/14914

GameBoy Heiankyo Alien Music
http://www.youtube.com/watch?v=AavgZCSPHH4

2:コナミ矩形波倶楽部 / 【NES】Zen Intergalactic Ninja - Toxic Factory
1993年にコナミより発表された、同名のアメコミを元にしたゲーム。NES版とゲームボーイ版が出ているのですが、どちらも日本未発売。タイトルを邦訳するなら「宇宙忍者 禅」といったところでしょうか。ベルトスクロールアクションだったり横スクロールアクションだったりとバラエティに富んだステージ構成、また粒揃いの楽曲で、日本未発売が惜しまれる良作。作曲者はJ-Kane(兼田潤一郎)、Nakamur(中村康三)、Ayachan、T.Tommy(冨田朋也)、Sakagonの5名。曲調がT.M.N.T.(これもコナミゲー)っぽいのは、同作の楽曲にも携わった兼田氏と中村氏に因るところでしょうかね


Zen Intergalactic Ninja (NES) - Complete Soundtrack
http://www.youtube.com/watch?v=IScGtM2Elws

3:コナミ矩形波倶楽部 / 【FC】クライシスフォース - STAGE2&5
1991年にコナミより発売されたファミコンの縦スクロール・シューティングゲーム。ステージ2とステージ5で流れるBGM。作曲者はドラキュラIIやグラディウスII、トライゴンの楽曲も手がけている松原健一氏。本作の楽曲は2011年にコナミのオンライン通販でリリースされたBOXセット『KONAMI SHOOTING COLLECTION』で音源化されました。印象に残るメロディアスなフレーズが盛り込まれた、たまらない楽曲揃いです。

クライシスフォース 全曲集
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7286315

4:塩田信之 / 【FC】サマーカーニバル'92 烈火 - Jetter[1面前半/裏5面]
ナグザットから1992年に発売された、ファミコンの縦スクロール・シューティングゲーム。表ステージ全4面、裏ステージ全7面という構成で、裏モードは表をはるかに越える鬼畜難易度。背景がぐにゃりぐにゃりとラスタースクロールしたり超高速スクロールをする中で敵と敵弾とアイテムが同時表示数の限界もなんのそのといわんばかりにわらわらと襲い掛かってくる様はもう圧巻を通り越して呆然の一言であります。まさにファミコンが烈火のごとく火を噴きかねない壮絶さ。ちなみに、本作のメインプログラムを作り上げたS.YAGAWAこと矢川忍氏は後にバトルガレッガやバトルバクレイド鋳薔薇などのメインプログラムに携わり、現在もCAVEで現役活動中。そして、本作の楽曲は塩田信之氏の手によるもの。全編にわたって展開される、アシッドなファミコンノイズを多用したミニマルテクノサウンドが素晴らしいです。

さまーかーにばる サウンドテスト収録
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1343955

5:Tim Follin(&Geoff Follin) / 【NES】シルバーサーファー
1990年にアルカディア・システムズから発売されたNESソフト(日本未発売)。マーベル・コミックのスーパーヒーロー、シルバーサーファーを主人公にしたシューティングゲーム(極上パロディウスの自機キャラのひとつ「こいつ」の元ネタはここからきてるんじゃないかという説も)なのですが、ゲーム本編は極悪な当たり判定のせいでまともにプレイすることが困難で、どうしようもないクソゲー扱いされております。そんなゲーム本編とは対照的に、鬼才サウンド職人ティム・フォリン氏が手がけた楽曲は絶品のクオリティ。重厚かつアグレッシヴな音の奔流を味わうことができます。

NES:Silver Surfer Soundtrack
http://www.youtube.com/watch?v=GkPVUcPtKE4

6:Geoff Follin / 【NES】ウルヴァリン - タイトル
1991年にLJN株式会社より発売されたNESソフト(日本未発売)。マーベル・コミックの人気キャラクターの一人ウルヴァリンを主人公にしたアクションゲーム。前述のティム・フォリン氏の兄であるジェフ・フォリン氏が楽曲を手がけており、弟に負けず劣らずの重厚で印象的なサウンドを聴かせてくれます。

NES Wolverine Soundtrack
http://www.youtube.com/watch?v=xZx3rBheTXU

7:Neil Baldwin / 【NES】ヒーロークエスト
ミルトン・ブラッドレー株式会社/ゲームズ・ワークショップの制作によるファンタジーRPG型ボードゲーム(1991年)のNESソフト版。しかし、このソフトは本国でも日の目を見ることがなかったとか(なんという…)、ゆえに国内外未発売作品。ニール・ボールドウィン氏による楽曲は、フォリン兄弟に負けず劣らずの重厚なサウンドを聴かせてくれるだけに、発売されなかったのがつくづく惜しまれるところ。氏は、「ジャングルブック(国内未発売)」「ジェームズ・ボンド.Jr(国内未発売)」「フェラーリ グランプリチャレンジ(国内版あり)」などのNESソフトでも楽曲を担当されているようです。こちらのサイトで各作品の楽曲が聴けます。
http://dutycyclegenerator.com/

NES:Hero Quest Soundtrack
http://www.youtube.com/watch?v=0mxt7oTMnBA

8:富沢敏明 / 【AC】ゼロウイング - ヒット・マン[Stage8]
1989年に発表された東亜プランの横スクロール・シューティングゲーム。そのアーケード版のステージ8BGM。 東亜プラン作品の楽曲は硬派なメロディやギンギンなベースラインなど、"東亜節"と呼ばれる特徴的なサウンドを展開しているのですが、この曲もそんな東亜節が全開な仕上がり。

Zero Wing [Toaplan, 1989] - Hit Man
http://www.youtube.com/watch?v=W9YNSDAsjP0

ところで、ゼロウイングを話題にすると避けては通れないネタに、メガドライブ海外版のストーリーデモに出てくるセリフ「All your base are belong to us」があります。あまりにも奇妙に感じる英語(いわゆるEngrish)だったらしく、向こうの人にバカウケ。インターネット界隈でネタが流行した2001年からだいぶ年月が経った今でもなおネタにされており、もはやEngrishの定番フレーズのひとつと化している感があります。AYBABTU

★All your base are belong to usとは - ニコニコ大百科

9:Virt(Jake Kaufman) / Lorem Chipsum
これは特定のゲームに使われた曲ではなく、ジェイク・カウフマン氏のオリジナル曲。氏は、「ケツイ~絆地獄たち~」のアレンジサウンドトラックへの参加や「怒首領蜂大復活ブラックレーベル」の編曲、ニンテンドーDSの「魂斗羅 Dual Spirits」の楽曲も手がけているアメリカのVGMコンポーザーです。Blockpartyというミュージックコンペに提供した楽曲「Lorem Ipsum」のチップチューンアレンジ版です。原曲はアニメのテーマソングを意識して、VOCALOID(初音ミク)とクワイアソフトを使って仕上げた壮大でアツいロック・チューン(歌詞はダミーテキスト[Lorem Ipsum]そのもの)。チップチューンアレンジ版でも疾走感は健在で、聴き応え十分です。

Virt - Lorem Ipsum / Lorem Chipsum
http://www.youtube.com/watch?v=Y4zfkeTsto0

http://www.youtube.com/watch?v=2lWJQmCf2CY

10:Tim Follin / 【NES】ピクショナリー - ミニゲーム1
1990年にLJN株式会社より発売されたNESソフト(日本未発売)。ボードゲームとパズルゲームを足したようなパーティゲーム。2つあるミニゲーム時BGMのうちのひとつ。QUEENの"Another One Bites the Dust"の8bitカヴァー&パロディに仕上がっており実に愉快。デンデンデン、もう一人死ぬ♪

Pictionary Music (NES) - Mini-Game 1
http://www.youtube.com/watch?v=VdZGtDHmCOo

ちなみにこのLJNというメーカーからリリースされるゲームは版権モノ&クオリティの低いものが多く、向こうの界隈では忌むべき存在として挙げられているとか。

★LJNとは - ニコニコ大百科